将来の中国ビジネスについての一考察(化学業界)

自分がなぜ中国ビジネスを重視しているのかについて、簡単に書いてみたいと思います。化学業界寄りの見方ですが、他の業界にも大なり小なり当てはまるのではないかと考えます。

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2010年には約1億2800万人であった日本の人口は、2030年には1億1600万人程度に減少し、この時人口の1/3近くが65歳以上の高齢者となります。これは人口動態の構造的な問題であり、多少の対策では手の打ちようがありません。ほぼ確実に見えている日本の未来であると言えます。社会の活力が失われ、消費意欲が減退する中で、企業が少なくとも今以上の事業規模を維持する為には海外の成長を取込んでいくことが必要不可欠になります。

こうした課題に対処する為に、企業はより一層の国際化が求められています。中でも中国関連ビジネスはその存在感の大きさから、更なる取組が必要になってくると思います。目先のところでは経済の頭打ち感や共産党一党独裁による様々な弊害により、その先行きに対して不安感を持たれることもありますが、世界を牽引する成長力・世界第二位の経済規模・化学産業の急速な発展は依然として顕在であり、当分その地位は盤石に見えます。今後いかに中国関連ビジネスに食い込んでいけるのかが、日本企業の行方を左右していくのではないかと推察しております。

◆中国は引き続き世界の成長を牽引

経済成長見通し(2017年1月16日発表)

2015年推計 2016年推計 2017年予測 2018年予測
中国 6.9% 6.7% 6.5% 6.0%
世界平均 3.2% 3.1% 3.4% 3.6%
米国 2.6% 1.6% 2.3% 2.5%
ドイツ 1.5% 1.7% 1.5% 1.5%
日本 1.2% 0.9% 0.8% 0.5%

情報源:IMF

上表の通り、大きな4つの経済大国の中で世界平均を上回っているのは中国のみです。年々成長率が鈍化していると言われている中国ですが、米国を大きく上回る成長を続けており、依然として世界平均を引っ張っているのは中国であると言えます。経済成長がゼロに近づきつつある日本が現在の経済規模を維持するためには高成長の国についていく必要があると考えます。

◆中国の経済規模は世界2位

名目GDP(国内総生産)の構成比(2015年)

名目GDP構成比
米国 24.4%
中国 14.9%
日本 5.6%
ドイツ 4.6%
その他 50.5%

情報源:世界銀行(2016年12月発表)

世界全体に占める各国の名目GDPを見ると米国と中国で全体の4割を占めており、この2か国が世界経済のトレンドを形作ると見られています。日本は地理的に隣接した中国の影響を大きく受けると言われています。

◆化学産業においても中国は主要なプレーヤーに躍り出る

これまで中国の化学産業の強みは基礎化学品(酸・アルカリ・ソーダ類や石油化学製品など)が中心でしたが、今後は軸足を収益性のより高い電子材料や機能性ポリマーなどの機能化学品へシフトすることが予測されています。中国政府による「中国製造2025」でロードマップが示されたように、中国の機能化学品市場は高い伸びが予想され、2020 年には世界最大の市場となる見込みです。国の強力な後押しによるクロスボーダーのM&Aを通じて一気に存在感を高めていくと予想されており、これまでこの分野に強かった日本企業の優位性は長期的には続かないと推察します。

機能化学品市場の国別シェアの推移予測

2014 2020 [Forecast]
中国 23% 29%
北米 25% 25%
EU 18% 16%
日本 8% 7%

情報源:IHS

◆海外売上高比率を高める必要性

国内市場は成熟し、かつ競争も激しい為、今後更なる成長を求める為には海外に活路を見出す必要があると考えます。国内最大手の化学品専門商社である長瀬産業の売上高全体に占める海外売上の割合は2014年度には50%を超えており、さらにその割合は拡大傾向にあります。特に中国と東南アジアのビジネスがその成長を牽引しています。長瀬産業の国際ビジネスは海外に進出した日系企業へのプラスチック供給が主体となっています。一方、課題としては日系企業以外の商売に十分取組めていないことであり、今後現地企業とのビジネス拡大を目標としているようです。

長瀬産業(株) 地域ごとの売上高(2016年3月期 連結)                単位:百万円

日本 北東アジア

(中国が中心)

東南アジア 北米 欧州・他 合計
363,038 221,197 109,837 30,684 17,437 742,194
48.9% 29.8 14.8% 4.1% 2.4% 100%

情報源:有価証券報告書

以上のことから仕入先、販売先として存在感の高いアジア、特に中国とビジネスをしていく必要性は化学関連会社にとって次第に高まっていくことが予想されており、この流れに乗ることが各社にとって大事ではないかと私は考えます。

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ABOUTこの記事をかいた人

ichihara

宮崎県生まれ。メーカー・商社・FC運営会社勤務を経て現在アイルランド資本のFintec企業Global Sharesにて株式報酬アナリスト業務に従事。早大院修了。在学中に中国の北京大学へ交換留学。MBA。